ランサムウェア攻撃やサプライチェーン攻撃の高度化を背景に、セキュリティエンジニアの採用競争は他のIT職種と比べても異次元の水準に達しています。レバテックの市場動向レポートによれば、セキュリティ人材の転職求人倍率は42.6倍。IT人材全体の10.4倍、全業種平均の1.18倍と並べると、この職種の需給がどれほど逼迫しているかがわかります。
一方で、平均年収のデータを見ると「セキュリティ=即高年収」とは言い切れない実態も見えてきます。給与レンジの幅が非常に広く、担当領域とスキルの深さで待遇が大きく分かれる職種だからです。この記事では、需要・年収・人材市場の構造変化を出典付きのデータで整理し、キャリア戦略への示唆をまとめます。
需要動向:求人倍率42.6倍、求人数は3年で2.5倍
セキュリティエンジニアの需要を示すデータは、どれも「供給が全く追いついていない」ことを指し示しています。転職求人倍率42.6倍という数字は、転職を考えるセキュリティ人材1人に対して42件超の求人がある計算です。
求人数の伸びも急峻です。セキュリティ関連の正社員求人はこの3年で約2.5倍に拡大し、ハイクラス転職を扱うJACリクルートメントの取扱求人でも前年比181.1%と、伸び率でIT職種の上位に入っています。インシデント対応やセキュリティ設計を担える人材は、事業会社・SIer・コンサルのいずれからも引き合いが強い状態です。
転職求人倍率
42.6倍
IT人材全体は10.4倍、全業種平均は1.18倍(いずれも2025年12月時点)
正社員求人数の伸び
3年で約2.5倍
ランサムウェア・サプライチェーン攻撃の高度化が背景
求人数の前年比
181.1%
JACリクルートメント取扱求人におけるセキュリティエンジニア
年収相場:平均495万円、ただしレンジは378万〜1,104万円
求人ボックスの給与データによると、セキュリティエンジニアの平均年収は約495万円。ただし給与幅は378万円から1,104万円までと極めて広く、「何を守れるか」で待遇が大きく変わる職種です。
レンジ下位は運用・監視(SOCオペレーター等)が中心で、上位はセキュリティアーキテクトやインシデントレスポンスの専門家、CSIRT立ち上げ経験者などが占めます。つまりこの職種で年収を伸ばす鍵は、経験を「監視する側」から「設計し、意思決定する側」へ引き上げていくキャリア設計にあります。
平均年収
約495万円
正社員の給与幅は378万〜1,104万円と広い
構造変化:「人が足りない」から「スキルが足りない」へ
ISC2の2025年版サイバーセキュリティ人材調査(世界16,029名、日本1,225名回答)は、組織のリスク認識が「人員不足」から「スキル不足」へ移ったことを示しました。回答者の88%がスキル不足による重大な影響を経験しています。単に頭数を増やす採用から、クラウドセキュリティ・AIセキュリティなど特定スキルを持つ人材の獲得競争へと質が変わっているのです。
同調査では、日本企業の39%が「競争力ある給与を提示していない」と回答しており、これは世界平均の25%を大きく上回ります。裏を返せば、給与水準を引き上げてでも採りたい企業と、相場に追いつけない企業の二極化が進んでおり、転職によって待遇が大きく改善する余地がある市場だと読めます。
スキル不足の影響を経験した組織
88%
ISC2調査(世界16,029名・日本1,225名回答、2025年5〜6月実施)
「競争力ある給与を提示していない」日本企業
39%
世界平均は25%。日本の給与競争力の低さが突出
この記事のまとめ
求人倍率42.6倍・求人数3年で2.5倍と、セキュリティは現在最も売り手優位のIT職種。インフラ・開発経験からの越境も歓迎される市場環境が続いている。
平均年収495万円はあくまで入り口の数字。監視・運用から設計・アーキテクトへ役割を引き上げることで、レンジ上限の1,000万円超が視野に入る。
「スキル不足」時代への移行で、クラウドセキュリティ等の専門性を持つ人材への待遇は上振れ傾向。給与に不満があるなら市場価値の確認だけでも価値がある。
セキュリティエンジニアの転職に強い相談先
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